本日10月10日に『ARIA The AVVENIRE』を観てきました。
劇場化が発表された時は本当に驚いたものです。原作とアニメが同時期に迎えた感動の終わりから早幾年。一体どんな内容に成るのかと、不安にも成りました。
そして、もう一つの不安は、アテナさん。
声優の川上とも子さん、舟謳の河井英里さん不在の状況で、一体どうするのかとても不安に成りました。代役を立てるのかとも考え、それなら新作を上映する意味は有るのかと、ぶつぶつと言いながら公式サイトを見ると、まさかの川上さんの名前が。制作陣には感謝感激です。
映画館に行きますと、多くの方がいらっしゃいました。皆さんパンフレットなど買い求めておられ、私も漏れずパンフレット諸々を購入。因みに頂いた色紙はオレンジぷらねっとの物です。
映画館は学生時代に『戦艦ポチョムキン』を観て以来ですので、映画館のあの独特の雰囲気に慣れるまで少し掛かりました。
さて、上映です。スクリーンに広がる海、懐かしのあの音楽……上映直ぐに感動しました。色褪せぬ優しく温かな日常がそこには在りました。
アリシアさんの裏誕生日、ケット・シーとの惜別、そして未来へと――過去の大切な素敵を胸に抱いて、まだ見ぬ素敵な未来へ漕ぎ出す彼女達の姿に、熱いものが込み上げてきました。
そして、アテナさん。声も舟謳も両氏のままで、クレジットを見た時にはもう……。
さあっ
漕ぎ出そう…
私達の未来へ!
アリシアさんのこの台詞が全てを物語っております。
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さて、ここからが本題です。
今回取り上げるのは、『ARIA』のアイちゃんです。
このアイちゃんは非常に面白い経歴を持っておりまして、当初はアニメオリジナルキャラクターだったのですが、最終的には原作に登場するのです。原作最終巻のあの見開きに当時の私は驚きを隠せませんでした。
一体何が注目すべき点なのかと言いますと、まさにアニメオリジナルキャラクターが原作に出てしまったという点です。
まず申しておかなければならないのが、原作とアニメは違うということです。そんなことは分かっていると仰るでしょうでけれど、最初から別媒体で同じ作者が戦略的に行っているような例を除いて、原作が在ってそれをアニメ化したものは、表現媒体が違うとか、制作者が違うとか、情報量が違うとか、多くの点で違いが出て来ます。
『ARIA』の場合ですと、漫画とアニメで表現媒体が違う、制作者が違う、動画である、声・音が有る、等々『ARIA』という作品の括りの中に在りながら、異なる存在が居る状態なのです。
この状態は多くの問題を引き起こします。例えば、登場人物の声がアニメの声で聞こえるなどです。元々無かった声がアニメで付いてしまうことで、固定化されてしまうのです。
私は一人で公式の問題と呼んでおりますが、アニメ化という原作者に承認されて公に作られたものは非常に強い力を持って、原作にその力を行使することがあります。影響と言った方が誤解は少ないでしょうか。
では、アイちゃんの話に移りましょう。
先述の通り、アイちゃんはアニメオリジナルキャラクターでした。しかし最終的に原作に登場し、アニメオリジナルキャラクターではなくなりました。
このことが意味するのは、アニメが原作に大きな影響を及ぼした、ということです。
上述の例に在る、ある登場人物の声がアニメの声で聞こえるというのは、飽く迄も受け手側の問題ですが、アイちゃんの場合は原作に直接影響を及ぼしました。
メディアミックスなどの研究では当然ながら原作と展開先のメディアとの関係が問われる訳ですが、アイちゃんの例を鑑みると、例えば原作とアニメのピラミッド構造であるなんて関係性は否定される訳です。より対等で、『ARIA』の場合は一蓮托生に近いような密な関係であることが理解出来ます。
アイちゃんから分かることは、展開先のメディアから原作へ入り込んで来ることがある故に、メディアミックス等の研究をする際には、必ずそのことを念頭に置かねばならないことでしょうか。
この方面については一応門外漢なので、これ以上のことを述べられませんが、例えばアニメオリジナルなのに原作に出たら果たしてアニメオリジナルと呼べるのかなど、そんな他愛の無いことを考えたりも出来ます。あるいは、二次創作とな何ぞやとの話にも絡んでくるでしょうか。
兎に角、素敵全開のアイちゃんに成長したようで、恥ずかしいセリフを禁止したくなります。